2020/09/15
終の棲家としてのリフォーム
お家のリフォーム、どこから考えますか?
多くの場合、明らかに不満がある箇所(扉がうまく閉まらない、お風呂のタイルが剥がれそう、など)でなければ、どこに手を出していいのかわからないと思います。
気になっているところはあるけれどコストも心配で、そもそもリフォームの予算の考え方って?という方が多いのではないでしょうか。
リフォーム工事の際には、「一番大切なポイント」を見誤らないようにして下さい。
リフォームしたお家には、これから何年住みますか?そこで生活するのは誰ですか?水周りや外観など、目立って直したくなるところよりも先に、手を出すべきところがあるかもしれません。
また、どの範囲をリフォームするのかという線引きも大切です。(使わないお部屋にお金を掛けてももったいないですよね)
新築を建てさせて頂いた同じ敷地内で、実際にご相談のあった例をご紹介させて頂きます。
1階が倉庫・2階に寝室という建物をご両親のお住まいにするというリフォームです。
ご相談いただく中で、いくつかのコンセプトが決まってきました。
・ご両親が20年ほど住むことができれば良い。
→新築でなく、既存住宅のリフォームとしました。
・健康に暮らせるように暖かい家にしたい。
→内装のやり直しだけでなく、断熱補強を行うことにしました。
・もとの建物の壁や柱を利用するが、使い勝手のいい間取りとしたい。
→LDKが一室となっている、つながり感のあるな間取りとしました。
・明るい家にしたい
→2階から光を落とす工夫をしました。
リフォームの計画を立てる中で、ひとつ問題点がありました。
鉄筋コンクリート造りの建物であったため、構造体の壁を壊すことができません。つまり窓を増やしたり、邪魔な壁を取り払ったりすることができないのです。
この建物には1階の南側に窓が一つもなかったため、当初は薄暗い印象がありました。
もともとの間取りでは真ん中の階段で完全に部屋が分断されていて、そのため特に北側は薄暗い印象がありました。
調査をする中で、中央の階段を囲む壁は構造体ではないことが分かり、この壁と階段を取り外してしまえば2階から光が下りてくるのではないかと考えました。
南側には構造体のコンクリートの壁があるため、寝室や水周りをして使うことにして、光を落とす工夫のカナメである階段を囲むようにLDKを配置しました。
お家全体が明るくなるような効果を狙っています。
新しく階段を設置する際に壁で仕切ってしまっては元の暗いお部屋に戻してしまうので、思い切ってオープンな作りの階段とさせて頂きました。
これなら北側の空間にも光を落とすことができます。
ある程度昔に建てられた建物の場合、夏はとても暑く、冬はとても厳しい寒さであることが多いです。
特に冬の寒さは「暖房しなければ外と変わらない」というようなお家が多いかもしれません。
皆様のご実家を想像して頂くと、そのようなお家が多いのではないでしょうか?
基本的に断熱は「欠けがなくぐるっと囲われている」ことが大切なのですが、そもそも断熱材が入っていなかったり、壁には入っているけれど床下にはなかったりとどこか不十分なお家が多いです。
お家すべてを断熱補強していくのはコストも掛かり大変です。
カーサでは居住エリアを決めることで、限られた部分のみ断熱補強工事を行うことをお勧めしています。
実際お話をお伺いすると日常生活ではLDKとお風呂・脱衣室と寝室やトイレなど、お家のすべてを使用しているわけではなく、40坪ほどのお家でも半分の20坪ほどしか使用していないケースもあります。
今回の工事では1階はすべて断熱工事を、2階は全体の半分以下のスペースの工事を行いました。
使用頻度が低いスペースについては、床やクロス張り替えの工事も行わないことで、全体のコストを抑えています。
お家の断熱状況を確認したり、構造的な弱点を確認したりと、お家の診察(インスペクション)を行いより効果的な処置をしていくことが、できるだけコストを抑えて快適なお家へとリフォームさせるために大切なポイントとなります。
イケモト